ガソリン価格に関する大きなニュースが飛び込んできました。
立憲民主党、日本維新の会、国民民主党など野党8党が、ガソリン税の「暫定税率」を2025年11月1日から廃止する法案を、8月1日に召集される臨時国会に共同提出することで一致したというものです。
この動きは、ガソリン価格の高騰が続く中で、家計や産業への負担軽減を目指すものとして注目されています。
今回は、暫定税率廃止の背景やその影響、そして今後のガソリン価格の見通しについて詳しく解説します。
ガソリン税と暫定税率とは?
ガソリン価格には、消費税以外にも複数の税金が含まれています。
その中でも特に注目されるのが「ガソリン税」で、以下の内訳があります。
ガソリン税(本則税率):28.7円/リットル
暫定税率:25.1円/リットル
石油石炭税:2.8円/リットル
消費税:ガソリン本体価格と上記税金の合計に対して10%
例えば、レギュラーガソリンが1リットル180円の場合、約56.6円が税金で、そのうち25.1円が暫定税率によるものです。
さらに、この税金部分にも消費税がかかる「二重課税」の問題が指摘されています。
暫定税率は1974年に道路整備の財源として導入されたもので、「暫定」と名付けられているにもかかわらず、50年以上にわたり継続しています。
暫定税率廃止の動きとその背景
野党8党(立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、参政党、れいわ新選組、共産党、日本保守党、社民党)は、2025年7月29日に国会内で会合を開き、暫定税率の廃止を11月1日から施行する法案を臨時国会に提出する方針を確認しました。
この背景には、以下の要因があります。
参議院選挙の結果:2025年7月の参議院選挙で与党が衆参両院で過半数を失い、少数与党となったことで、野党の政策実現への影響力が増しています。
ガソリン価格の高騰:2023年9月にはレギュラーガソリンの全国平均価格が186.5円/リットルを記録し、過去最高水準に達しました。原油価格の高騰や中東情勢の緊迫により、さらなる価格上昇の懸念があります。
国民負担の軽減:暫定税率の廃止は、ガソリン1リットルあたり25.1円の値下げにつながり、家計や物流コストの軽減が期待されています。
野党側は、ガソリンスタンドなど現場の混乱を避けるため、現在の1リットル10円の補助金を段階的に25円まで引き上げ、その後暫定税率を廃止する計画です。
立憲民主党の重徳和彦政調会長は、「与党や業界と協力し、安定的な実施を目指す」と強調しています。
暫定税率廃止によるガソリン価格への影響
暫定税率が廃止されると、ガソリン価格はどうなるのでしょうか?以下に具体例を挙げて計算してみます。
- 本体価格:123.4円
- ガソリン税(本則税率):28.7円
- 暫定税率:25.1円
- 石油石炭税:2.8円
- 消費税(本体価格+税金の合計の10%):約18円
- 合計:180円
暫定税率25.1円が廃止されると、消費税もその分(2.5円)減少し、合計で27.6円安くなります。
- 本体価格:123.4円
- ガソリン税(本則税率):28.7円
- 石油石炭税:2.8円
- 消費税(本体価格+税金の合計の10%):約15.5円
- 合計:152.4円
ただし、現在はガソリン価格抑制のための補助金(1リットルあたり10円、2025年1月時点では21.5円)が支給されています。補助金が廃止された場合、価格は以下のようになります。
- 補助金なしの場合:173.9円(180円 – 21.5円 + 15.5円)
つまり、暫定税率廃止により、補助金が継続しない場合でも現在の価格から約6.1円~27.6円の値下げが期待できます。
ただし、原油価格の変動や補助金の動向により、実際の価格は異なる可能性があります。
与党の対応と課題
与党(自民党・公明党)は、暫定税率廃止そのものには合意していますが、実施時期や財源確保について慎重な姿勢を示しています()。特に以下のような課題が指摘されています。
財源問題:暫定税率廃止により、年間約1兆円の税収が失われるとされ、道路整備や地方財源(約300億円)に影響が出る可能性があります。
流通現場の混乱:急な税率変更はガソリンスタンドなどでの価格調整やシステム変更に混乱を招く恐れがあり、野党の提案する11月1日施行には準備期間が十分かどうかの議論があります。
与野党の調整:自民党は8月の臨時国会での法案成立を検討していますが、野党との協議や業界との調整が必要です。
野党側は、過去に提出した法案(2025年6月)が参議院で採決されず廃案となった経緯を踏まえ、早期審議と成立を強く求めています。
今後のガソリン価格の見通し
暫定税率廃止が実現した場合、ガソリン価格は1リットルあたり150円台前半まで下がる可能性があります。
ただし、以下の要因が価格に影響を与えるため、注意が必要です。
原油価格の動向:中東情勢や国際市場の変動により、原油価格が上昇すれば値下げ効果が相殺される可能性があります。
補助金の継続:政府は現在、9月末まで補助金を支給しており、10月以降も延長する方向で調整しています。補助金の規模や期間が価格に影響します。
法案の成立:与野党の協議次第では、11月1日施行が遅れる可能性もあります。野党は「先延ばしは許さない」と強い姿勢を示していますが()、与党の協力が不可欠です。
家計や産業への影響
暫定税率廃止によるガソリン価格の低下は、以下のような影響が期待されます。
一方、税収減による道路整備の予算縮小が懸念されるため、代替財源の確保が重要です。
まとめ
野党8党によるガソリン暫定税率の廃止法案は、11月1日施行を目指し、8月の臨時国会に提出される予定です。
この法案が成立すれば、ガソリン価格は1リットルあたり約25円安くなり、家計や産業に大きな恩恵をもたらす可能性があります。
しかし、原油価格の変動や補助金の動向、与野党の調整など、不確定要素も多く、実際の価格低下幅は状況次第です。
ガソリン価格の高騰に悩む消費者にとって、今回の動きは一筋の光となるかもしれません。

今後も与野党の協議や原油市場の動向に注目しながら、賢く節約していきたいですよね!